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ERI21からの発信

2009年05月11日更新
(2009年05月11日付 全国紙朝刊に意見広告として掲載)

緊急アピール
対露領土交渉の基本的立場を崩してはならない


  わたくしどもは、わが国政府の首脳および一部関係者の日露関係、北方領土問題に関する最近の言動に深刻な懸念を抱き、これを主権国家としてのわが国の存立基盤を堀り崩しかねない由々しい事態であると受け止めています。

  谷内正太郎政府代表が、北方領土問題に関して「3.5島でもいいのではないか」と述べたと4月17日に報じられました。麻生太郎首相も2月18日の日露首脳会談後、「向こうが2島、こちらが4島では進展しない」と述べました。つまり、日本政府の首脳が、初めて4島返還という対露外交の基軸を否定するかのごとき発言をしたわけです。

  北方領土問題は、単なる利害・損得の問題ではなく、何よりもまずわが国の主権、独立、領土が侵されているという、国家存立の基本にかかわる問題です。日本には歴史的にも、法的にも択捉、国後、歯舞、色丹の「4島返還」を要求する根拠があります。その道理や論理を放棄し、「面積折半」のような利害・得失論に転換して、どのような問題解決の展望があると言うのでしょうか。むしろロシア側はより強気となり、問題解決の展望はいっそう遠ざかるのではないでしょうか。このことを考えると、麻生首相や谷内政府代表の発言は、あまりにも軽率な発言であると言わざるを得ません。

  深刻な問題が3つあります。

  第1は、国会において全党一致で決議された原則が、また関係者が長年血の滲む努力で築いてきた平和条約交渉の土台が、政府の首脳および一部関係者の軽率な一言によって、一夜にして崩されることです。

  第2は、微妙な主権問題の詰めの交渉は、国民の幅広い信頼を得ている安定した政府やその首脳が、非公開で行って初めて解決できる性質の問題です。まだ具体的な交渉も始まっていないうちに、その内容に関連し、妥協を示唆するやり方は、交渉の進め方としてあまりにも軽率です。

  第3は、情勢判断の誤りです。現在のロシアは、大国主義・ナショナリズムが高揚し、シロビキ(軍・治安関係者)が政治・外交を壟断し、領土問題解決の「機会の窓」は開かれていません。メドベージェフ大統領が「創造的なアプローチを」と述べましたが、日本側だけが「創造的」対応を行っても、自ら交渉の基礎を崩すだけであり、このような状態をわれわれは看過できません。プーチン首相が来日しますが、麻生首相との首脳会談の行方に関して、わたくしどもは深刻な危惧の念を抱かざるを得ません。

  わたくしどもは、政府の首脳および一部関係者の一連の不用意な発言を深く憂慮し、これらの発言によって日本の国益が取り返しのつかない損失を蒙ることのないように、日本政府が対露外交の原点を再確認して、今後その基本的立場を堅持することを強く求めます。


代表署名者
伊藤 憲一(日本国際フォーラム理事長)
児玉 泰子(北方領土返還要求運動連絡協議会事務局長)
田久保忠衛(評論家)丹波 実 (元駐ロシア大使)
袴田 茂樹(青山学院大学教授)
半田 晴久(世界開発協力機構総裁)
吹浦 忠正(ユーラシア21研究所理事長)
他 署名者85名、賛同者34名

財団法人日本国際フォーラム緊急提言委員会

*この意見広告は、日本国際フォーラム緊急提言委員会の呼びかけに応えた国民各界有志による緊急アピールです。この意見広告の広告料には、署名者全員92名の分担金(1人1万円以上)と署名者以外の賛同者34名の賛助金に加え、日本国際フォーラム緊急提言委員会の拠出金を当てました。